王さん「できるなら16球団」プロ野球拡張へ注目発言
ソフトバンクの王貞治球団会長(79)がプロ野球のエクスパンション(球団拡張)について注目発言した。11日に放送されたTNCテレビ西日本の報道番組「CUBE(キューブ)」内でインタビューに応じ「野球界のためにはできるものなら16(チームになるよう)、あと四つ球団が誕生してほしい」と言及した。
番組では過去10年の日本シリーズのうちパ・リーグ球団が9度制したことなどを踏まえながら、セ、パ両リーグの格差や再編の話題に触れた。王会長は「プロだから採算のことはあるが」とした上で「チームは多い方がいい。選手たちにとっても、小さい人(子どもたち)も、高校、大学でやっているような人にとっても受け皿があった方が絶対にいい」とプロ球団の増加を求めた。
現在のプロ野球は各リーグ6球団で、クライマックスシリーズ(CS)には両リーグともレギュラーシーズンの上位3チームが出場する。リーグ優勝と日本シリーズ出場チームが異なるケースが出てきたことでペナントレースの価値が損なわれるなどの議論もあるが、王会長は「16チームならCSもあれこれ言われなくてすむ。12だから変なやり方になっていると言われる」と持論を述べた。
野球・ソフトボールは東京五輪で3大会ぶりに競技復活した後、2024年パリ大会で再び除外されることが決まっている。日本でも野球の競技人口減少など危機が叫ばれる中、王会長は「子どもたちに夢を与えるには環境整備が大事。野球界にはいろいろな組織があるが、子どもたちのためにというテーマで話をまとめればかなりいい案が出る。五輪は世界の人たちが注目しているところ。野球はちょっと難しいが見る側からすればこんなに楽しいものはない、そんなアピールをしたい」と意欲的に語った。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200111-00010015-nishispo-base
王さんほどの大物からその言葉が公に出てきたのはたぶんはじめてだと思う。政府の下っ端が言うのとでは説得力もファンの関心も違う。この話が社会的に議論されるようになったら世間の野球への注目度も増すと思うのだが、同時に野球ファンの「進歩のなさ」も人口に膾炙しそうで怖い。
なぜなら野球ファンはこの手の話になると「本拠地はどこか」という話しかできないからだ。そして下記AとBが永久にループする。
A「四国に球団を」
B「四国では無理」
長年野球ファンをやっているが、ファンの間でこのループがブレイクするのを見た事はない。
まず基本に還って欲しい。「プロ野球チームをあと4つ増やしたい」という話だ。本拠地として候補に挙がるのは当然、既存の球団を擁する都市よりも人口も経済規模も小さいエリアが中心になる。静岡なら良いか、四国ではだめかという話はハッキリ言って五十歩百歩であまり意味はない。
それらの都市圏でプロ野球を成り立たせるには、もう少し具体的には、1試合平均の動員数が例えば1万人前後でも経営が成り立つものにするためには、一球団の経営規模というものをどう変えていくかという話にならないとおかしい。つまり嫌でも既存の球団を巻き込む話になるので、本拠地はどこかというのはその先の話である筈だ。
まず、今の12球団と同じものをあと4つ増やすというのは無理だし、意味もないと個人的には思う。かってホリエモンが必死に参入しようとした時に露呈した通り、プロ野球は非常に閉鎖的な「サロン」である。新しい4人のオーナーがめでたく「サロン」に認められ、参入が許されたとしてもそれは今の「サロン」の会員が12から16に増えただけの事でNPBの本質的な部分は何も変わらない。
王さんの話の背景には、野球少年の減少といった、今のプロ野球人気の高まりとは裏腹に厳然と存在する問題がある。理由のひとつに、やはり他の競技の台頭があり、例えばサッカーの人気の根拠のひとつに「どんな小さな街のクラブでも頂点を目指せる」仕組みが確立されているという点がある。だから「小さな街」の誰かがプロのクラブをつくろうと思い立ち、それが実現に向けて動く。付随するようにサッカーをやる子供が増える。
つまりプロ野球も「下部リーグ」という体制を整え…という事になるわけだが、それをNPBという「サロン」ができるだろうか。まず無理だろう。これは決してNPBが悪いという事ではなく、一軍二軍という体制が定着しきっているプロ野球というものを、例えば二部リーグ体制にしようと考えて明日から動いたとしても5年10年で実現できるものではないという「文化」によるところが大きい。
別に二部リーグというシステムを賛美しているのではない。二部に転落したチームが経営難に陥るかもしれないという、「興行」とは相容れない本質も含んでいる。
だけど「どんな小さな街のクラブでも頂点を目指せる」という仕組みというか道筋は必要で、それを実現しないとNPBが本質的に変わったとは言えないし、本質的に変わらなければ野球界が慢性的に抱えている問題も解決しない。NPBが単なるプロ野球団体ではなく「日本の野球を統括する組織」に変貌しないと何もはじまらないと思うのだが、王さんはそこまで考えているだろうか。
目指して欲しいのは12球団を16球団になどという中途半端なものではなく、もっと本質的な改革なのだけど、どうして良いか僕も全然わからない。だけどそれを考える事自体は「本拠地はどこか」などという問題より何倍も面白い。
番組では過去10年の日本シリーズのうちパ・リーグ球団が9度制したことなどを踏まえながら、セ、パ両リーグの格差や再編の話題に触れた。王会長は「プロだから採算のことはあるが」とした上で「チームは多い方がいい。選手たちにとっても、小さい人(子どもたち)も、高校、大学でやっているような人にとっても受け皿があった方が絶対にいい」とプロ球団の増加を求めた。
現在のプロ野球は各リーグ6球団で、クライマックスシリーズ(CS)には両リーグともレギュラーシーズンの上位3チームが出場する。リーグ優勝と日本シリーズ出場チームが異なるケースが出てきたことでペナントレースの価値が損なわれるなどの議論もあるが、王会長は「16チームならCSもあれこれ言われなくてすむ。12だから変なやり方になっていると言われる」と持論を述べた。
野球・ソフトボールは東京五輪で3大会ぶりに競技復活した後、2024年パリ大会で再び除外されることが決まっている。日本でも野球の競技人口減少など危機が叫ばれる中、王会長は「子どもたちに夢を与えるには環境整備が大事。野球界にはいろいろな組織があるが、子どもたちのためにというテーマで話をまとめればかなりいい案が出る。五輪は世界の人たちが注目しているところ。野球はちょっと難しいが見る側からすればこんなに楽しいものはない、そんなアピールをしたい」と意欲的に語った。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200111-00010015-nishispo-base
王さんほどの大物からその言葉が公に出てきたのはたぶんはじめてだと思う。政府の下っ端が言うのとでは説得力もファンの関心も違う。この話が社会的に議論されるようになったら世間の野球への注目度も増すと思うのだが、同時に野球ファンの「進歩のなさ」も人口に膾炙しそうで怖い。
なぜなら野球ファンはこの手の話になると「本拠地はどこか」という話しかできないからだ。そして下記AとBが永久にループする。
A「四国に球団を」
B「四国では無理」
長年野球ファンをやっているが、ファンの間でこのループがブレイクするのを見た事はない。
まず基本に還って欲しい。「プロ野球チームをあと4つ増やしたい」という話だ。本拠地として候補に挙がるのは当然、既存の球団を擁する都市よりも人口も経済規模も小さいエリアが中心になる。静岡なら良いか、四国ではだめかという話はハッキリ言って五十歩百歩であまり意味はない。
それらの都市圏でプロ野球を成り立たせるには、もう少し具体的には、1試合平均の動員数が例えば1万人前後でも経営が成り立つものにするためには、一球団の経営規模というものをどう変えていくかという話にならないとおかしい。つまり嫌でも既存の球団を巻き込む話になるので、本拠地はどこかというのはその先の話である筈だ。
まず、今の12球団と同じものをあと4つ増やすというのは無理だし、意味もないと個人的には思う。かってホリエモンが必死に参入しようとした時に露呈した通り、プロ野球は非常に閉鎖的な「サロン」である。新しい4人のオーナーがめでたく「サロン」に認められ、参入が許されたとしてもそれは今の「サロン」の会員が12から16に増えただけの事でNPBの本質的な部分は何も変わらない。
王さんの話の背景には、野球少年の減少といった、今のプロ野球人気の高まりとは裏腹に厳然と存在する問題がある。理由のひとつに、やはり他の競技の台頭があり、例えばサッカーの人気の根拠のひとつに「どんな小さな街のクラブでも頂点を目指せる」仕組みが確立されているという点がある。だから「小さな街」の誰かがプロのクラブをつくろうと思い立ち、それが実現に向けて動く。付随するようにサッカーをやる子供が増える。
つまりプロ野球も「下部リーグ」という体制を整え…という事になるわけだが、それをNPBという「サロン」ができるだろうか。まず無理だろう。これは決してNPBが悪いという事ではなく、一軍二軍という体制が定着しきっているプロ野球というものを、例えば二部リーグ体制にしようと考えて明日から動いたとしても5年10年で実現できるものではないという「文化」によるところが大きい。
別に二部リーグというシステムを賛美しているのではない。二部に転落したチームが経営難に陥るかもしれないという、「興行」とは相容れない本質も含んでいる。
だけど「どんな小さな街のクラブでも頂点を目指せる」という仕組みというか道筋は必要で、それを実現しないとNPBが本質的に変わったとは言えないし、本質的に変わらなければ野球界が慢性的に抱えている問題も解決しない。NPBが単なるプロ野球団体ではなく「日本の野球を統括する組織」に変貌しないと何もはじまらないと思うのだが、王さんはそこまで考えているだろうか。
目指して欲しいのは12球団を16球団になどという中途半端なものではなく、もっと本質的な改革なのだけど、どうして良いか僕も全然わからない。だけどそれを考える事自体は「本拠地はどこか」などという問題より何倍も面白い。
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